2020 年 43 巻 4 号 p. 119-126
山間集落など大規模な水道施設の導入や維持が困難な地域を想定し, 紫外発光ダイオード (UV-LED) 装置を分散型水処理に活用する有効性を検証するため, 山間の沢水を未処理で供給する給水栓にUV-LED装置を設置して約1年間の実証試験を行った。未処理水は散発的ながら大腸菌陽性の場合や従属栄養細菌が水道水質管理目標値を超過する場合があり, 常時飲用には消毒が望まれた。一方, UV-LED処理水では細菌濃度, 検出率とも低下し, 処理水中の最大濃度は大腸菌, 大腸菌群, 一般細菌, 従属栄養細菌の順に0.5, 1.0, 6.0, 485 CFU mL-1で, 試験期間を通じて大腸菌不検出を達成した機種もあった。装置による従属栄養細菌の不活化率に運転時間経過に伴う低下傾向は認められず, 供用後の装置内部に顕著なスケール生成等も見られなかった。本研究により, 分散型水処理技術としてUV-LED装置を活用する可能性が示された。