水環境学会誌
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調査論文
印旛沼流域の水田における揚排水機場からの負荷調査
横山 智子丹澤 貴大星野 武司黛 将志半野 勝正
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2020 年 43 巻 4 号 p. 133-139

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抄録

近年, 印旛沼のCOD値は年平均値が10 mg L-1前後である。生活系や事業場系の排水対策が進み負荷量が減る中, 非特定汚染源からの流入負荷量の割合が増加している。印旛沼の水質改善を考える上で, 寄与率の高い非特定汚染源の情報は重要であるが, 印旛沼流域の水田調査は期間や分析項目の限定的なものが多く, 年間負荷量の実態調査が必要である。水田の揚排水機場において通年調査を行った結果, 年間の負荷排出量は, CODで47.8, T-Nで6.8, T-Pで0.61 kg ha-1 yr-1となり, 全国平均と比べて低い値となった。これは, 低地排水路の水を用水として汲み上げることで, 一部が循環利水となり, 負荷量が削減される効果が生じたためと考えられた。一方, 負荷排出量から負荷除去量を差し引いた値は, CODで-107.3, T-Nで-28.4, T-Pで-1.3 kg ha-1 yr-1となり, 吸収型となった。

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© 2020 公益社団法人 日本水環境学会
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