2020 年 43 巻 5 号 p. 153-163
ヘドロ堆積などが原因で劣化した二枚貝漁場の底質改良を目的として産廃利用覆砂材など様々な資材が開発されている。本研究では腐植物質を利用した底質改良材の効果を検証するため, 鉄-腐植物質錯体による光フェントン反応を利用したフルボ酸鉄シリカ資材 (以下FS資材) を用いて, 北海道東部のシブノツナイ湖で野外並びに室内実験を行った。FS資材を湖底に設置した野外実験の結果, FS資材設置区の底質は対照区より泥堆積厚, 泥分含量, 強熱減量が減少する傾向が認められた。しかし, その効果は既往研究結果と比較して非常に小さかった。また, FS資材による分解能力の室内実験から, 水温が高くFS資材量が多いほど分解能が高くなり, FS資材設置箇所に流れがあると分解作用を受けた底質表層の剥離が起こる可能性があることがわかった。以上の結果から, 場所に応じたFS資材利用方法の検討が重要であると考えられた。