国土数値情報GISデータを用いた過去18年間の土地利用形態の変化から, 琵琶湖淀川流域の非特定汚染源負荷に関する量的・空間的な解析を試みた。対象項目は, 環境基準に設定されている化学的酸素要求量 (COD) , 全窒素 (T-N) , 全りん (T-P) で, 土地利用とそれらの変化特性を数値および作成図より考察した。その結果, COD負荷量は, 湖沼や河川沿岸部で都市化の進行による増加傾向がみられ, 流出係数も高いことから発生源汚濁が水域へ直ちに流入することが示唆された。T-NおよびT-P負荷量は, 解析期間によって増加・減少する複雑な変化を示した。これは土地転用の結果であるが, 付随する社会的問題の影響も無視できないことが明らかとなった。本手法は非特定汚染源の位置を明確に示すため, 数値の評価のみならず空間的な分布の把握が可能である。したがって, 計画策定や対策の集中・効率化が期待され有効活用できると思われる。
ヘドロ堆積などが原因で劣化した二枚貝漁場の底質改良を目的として産廃利用覆砂材など様々な資材が開発されている。本研究では腐植物質を利用した底質改良材の効果を検証するため, 鉄-腐植物質錯体による光フェントン反応を利用したフルボ酸鉄シリカ資材 (以下FS資材) を用いて, 北海道東部のシブノツナイ湖で野外並びに室内実験を行った。FS資材を湖底に設置した野外実験の結果, FS資材設置区の底質は対照区より泥堆積厚, 泥分含量, 強熱減量が減少する傾向が認められた。しかし, その効果は既往研究結果と比較して非常に小さかった。また, FS資材による分解能力の室内実験から, 水温が高くFS資材量が多いほど分解能が高くなり, FS資材設置箇所に流れがあると分解作用を受けた底質表層の剥離が起こる可能性があることがわかった。以上の結果から, 場所に応じたFS資材利用方法の検討が重要であると考えられた。