水環境学会誌
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公衆浴場等の浴槽水における過マンガン酸カリウム消費量と全有機炭素量の関係について
大島 詔
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2021 年 44 巻 6 号 p. 175-178

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抄録

2019年に厚生労働省より発出された指針改定を受け, 多くの自治体では公衆浴場の浴槽水の有機物に係る基準を原則「過マンガン酸カリウム消費量で25 mg L-1以下であること」から「全有機炭素量で8 mg L-1以下であること」へ条例等の改正をした。数値のみに着目すると0.32倍の変更であり, 大阪市でも所要の改正が実施されたが, その後の検査で基準値超過となる施設の割合が増加したと思われたため過マンガン酸カリウム消費量 (KMnO4) と全有機炭素量の関係を調査した。47施設を調査し, うち消毒剤に無機物を使用していた38施設ではTOC = 0.456 KMnO4の関係にあり, KMnO4の係数は0.32よりも有意に高かった。大阪市で実施された本調査によりTOCによる浴槽水の新基準値はKMnO4で規定されていた旧基準値と比較して相対的に厳しい基準である可能性が示された。

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