抄録
【目的】高齢者が自立した食生活を送ることは、自身のQOLを高めるために重要である。本研究は高齢化が深刻な社会問題となっている日本と韓国において、食に関して学ぶ機会や、料理に携わる機会が少なかったと考えられる、50歳以上の男性に焦点を当て、食生活の自立度を調査し、高齢期における望ましい食生活を形成するためのあり方について社会や教育の現場に提言していくことを目的とし調査を行ったものである。【方法】日本及び韓国において、食生活についての意識や、食事作りへの関わり方、調理能力、将来設計に関するアンケートを50歳以上の男性(日本N=520、韓国N=298)を対象に行った。また男性を客観的に評価をする為に50歳以上の夫を持つ女性(日本N=361、韓国N=275)に対しても同様の調査を行った。統計処理にはSPSS10.0ver.およびEXCELを使用した。【結果】日韓ともに自己評価と客観評価とでは食い違いがあり、50歳以上の男性は食事作りの面で自立しているとはいえなかった。子供の頃に母親の手伝いをしていた男性ほど調理に対する苦手意識がなく、現在も普段の食事作りに参加し、台所仕事以外の他の家事への協力も認められた。また、作る事のできるメニュー数は自己評価、客観評価ともに韓国よりも日本の男性の方が多く、韓国の女性の方が日本女性よりも男性が台所に入ることに対する抵抗があった。男性が台所に入ることに抵抗感がある妻を持つ男性ほど食事作りをしていないことから、男性が料理をすることに対する女性側の意識も変えなければならないと考えられた。
山田克子2)、米田泰子2)、和辻敏子2)