公共用水域における大腸菌群数は, 糞便汚染の指標として昭和45年に環境基準に設定されたが, その指標性が低いことが問題視されている。そこで, 大腸菌群数のみ測定可能な従来の検査法に加え, 大腸菌数および大腸菌群数が同時に測定可能な疎水性格子付きメンブランフィルター法 (クロモアガーECC/HGMF法) および, Colilert法の有用性について調査した。大和川水系を対象とした調査結果から, 3法には一定の整合性がみられること, クロモアガーECC/HGMF法, Colilert法は, 大腸菌群数だけでは把握できない糞便汚染影響が強い地点の絞り込みが可能であることが判明した。また, 大腸菌群数から大腸菌数に環境基準が改定された場合, 環境基準達成状況はどのように変化するかについても併せて検証したところ, 現行基準では, 未達成であった地点についても, 基準改定後には多くの地点で基準達成する見込みであることが判明した。