水環境学会誌
Online ISSN : 1881-3690
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45 巻, 1 号
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研究論文
  • 新田 しおり, 泉田 理玖, 杜 潤達, 胡 以松, 李 玉友
    原稿種別: 研究論文
    2022 年 45 巻 1 号 p. 1-9
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/01/10
    ジャーナル フリー

    HAP-PNAグラニュール式一槽型アナモックスプロセスを用い, 嫌気性MBRにて嫌気性処理を行った実下水の連続窒素処理性能を評価した。また, 適宜, 活性試験と菌叢解析を実施した。その結果, 原水のNH4+濃度を調製しない全量実下水条件では, 平均窒素除去率は87%, 平均硝化速度は0.20 kg-N (m3 d) -1, 平均窒素除去速度は0.34 kg-N (m3 d) -1を確認した。さらに, 活性試験と菌叢解析より, 硝化活性はアンモニア酸化細菌, 脱窒活性はアナモックス細菌が大きく寄与していることが分かり, 実下水処理において一槽型アナモックスプロセスに関わるAOBとアナモックス細菌が維持できていたことが示唆された。本研究より, 下水のメインストリーム処理において嫌気性MBR処理の流出水に対して一槽型アナモックスプロセスの応用が可能であることが連続実験にて明らかになった。

  • 三島 聡子, 小澤 憲司, 中山 駿一, 菊池 宏海, 難波 あゆみ, 片岡 智哉, 二瓶 泰雄
    原稿種別: 研究論文
    2022 年 45 巻 1 号 p. 11-19
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/01/10
    ジャーナル フリー
    電子付録

    プラごみの発生源である流域から河川, 海岸にわたるプラスチック動態に関する研究事例は少ない。本研究では, 流域~河川~海岸における5 mm以上も含むプラスチック片の動態を解明することを目的として, 神奈川県引地川流域における流域 (道路) ・河川・海岸漂着物のプラスチック片調査を行った。標本粒子の回収試験結果より, 本研究のプラスチック片の対象サイズを1 mm以上とした。観測結果より, 用途地域間の道路堆積物中のプラスチック片数密度と質量濃度は, 各々商業, 住居地域が有意に大きく, その要因にプラスチック片サイズ分布が影響していることが示された。プラスチック片の材質を道路・河川・海岸で比べたところ, 河岸・海岸漂着物では比重の小さいPE (ポリエチレン) とPP (プリプロピレン) , PS (ポリスチレン) が卓越するが, 道路堆積物では大幅に少ないことが明らかとなった。

調査論文
  • 和田 桂子, 津野 洋, 武井 直子
    原稿種別: 調査論文
    2022 年 45 巻 1 号 p. 21-27
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/01/10
    ジャーナル フリー

    琵琶湖流域の面源系の市街地の原単位の推計を目的に, 宅地の汚濁負荷量を把握するため, 雨天時に一般住宅の屋根から流出するモニタリング調査を実施した。水質は有機物 (TOC) , 窒素, リンを対象に行った。総降水量の約7割が屋根排水として流出すると推察され, いずれも溶存態の割合が高いことが明らかとなった。回帰式から, 降水量に対する単位面積あたりの負荷量を算出し, 2015年~2020年の降雨イベントから宅地の日当たりの発生負荷量を求めた。各年で降雨パターンに違いはみられたが, 変動係数は10%未満となり, TOC, TN, TP は, それぞれ60.4, 18.1, 0.64 g ha-1-1と試算された。本結果より, 土地利用面積の比率およびCOD/TOC割合をもとに, 琵琶湖流域の宅地・道路の原単位として, TOC 140, COD 159, TN 24.2, TP 1.1 g ha-1-1が得られた。

  • 浦西 克維, 浦西 洋輔, 辻本 真弓, 城山 二郎
    原稿種別: 調査論文
    2022 年 45 巻 1 号 p. 29-39
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/01/10
    ジャーナル フリー

    公共用水域における大腸菌群数は, 糞便汚染の指標として昭和45年に環境基準に設定されたが, その指標性が低いことが問題視されている。そこで, 大腸菌群数のみ測定可能な従来の検査法に加え, 大腸菌数および大腸菌群数が同時に測定可能な疎水性格子付きメンブランフィルター法 (クロモアガーECC/HGMF法) および, Colilert法の有用性について調査した。大和川水系を対象とした調査結果から, 3法には一定の整合性がみられること, クロモアガーECC/HGMF法, Colilert法は, 大腸菌群数だけでは把握できない糞便汚染影響が強い地点の絞り込みが可能であることが判明した。また, 大腸菌群数から大腸菌数に環境基準が改定された場合, 環境基準達成状況はどのように変化するかについても併せて検証したところ, 現行基準では, 未達成であった地点についても, 基準改定後には多くの地点で基準達成する見込みであることが判明した。

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