水環境学会誌
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技術論文
液体クロマトグラフィー質量分析による水道水中の陰イオン6種の一斉分析法の検討と妥当性評価
小林 憲弘高木 総吉木下 輝昭仲野 富美古川 浩司粕谷 智浩松巾 宗平寺中 郁夫山本 剛米久保 淳田中 誠也丹羽 宏之会田 祐司髙原 玲華齊藤 香織五十嵐 良明
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2022 年 45 巻 2 号 p. 51-66

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抄録

水道水質基準や目標値が設定されている6種類の陰イオンを一斉分析可能なLC/MSあるいはLC/MS/MS分析条件を検討した。さらに, 本研究で確立した分析条件が, 様々な種類の水道水や機種に適用できるかどうか検証するために, 15機関で分析法のバリデーション試験を実施した。水道水を用いた添加回収試験の結果, 臭素酸, 塩素酸, 亜塩素酸, 過塩素酸の4物質は, それぞれ12機関以上が良好な分析精度が得られたことから, 本分析法は水道水に含まれるこれら4種類の陰イオンを高精度に一斉分析可能と考えられる。ただし, チオ硫酸ナトリウムによる亜塩素酸の分解が見られたことから, 亜塩素酸を分析する場合にはEDAで脱塩素処理を行う必要がある。また, 物質によって検量線の直線性が確保できる範囲が大きく異なったことから, これらの陰イオンの分析においては検量線の妥当性が確保できる範囲を確認した上で適切な検量線を作成する必要がある。

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© 2022 公益社団法人 日本水環境学会
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