2022 年 45 巻 2 号 p. 41-50
本研究では, 環境水中に残留する水田施用農薬の時間加重平均濃度 (TWAC) の測定手法としての極性有機化学物質集積サンプラー (POCIS) の適用性を検証した。琵琶湖流域の3水田群 (2.8~70 ha) と1つの流入河川で7~21日間, 除草剤2成分と殺菌剤1成分を対象にPOCISの浸漬と高頻度グラブサンプリング (2回 日-1以上) を同時に行った。POCIS法とグラブサンプリング法のTWACには高い相関関係があり, その差が0.5~2.0倍の範囲に14データセット中11データセットが含まれた。採水頻度を1, 2, 3, 4, 7日毎と仮定したグラブサンプリング法とPOCIS法でTWACを比較した結果, 採水期間中の濃度変動が小さいデータセット (CV ≦ 100%) では7日毎以上のグラブサンプリングでPOCIS法と同等の結果が得られたが, 採水期間中の濃度変動が大きいデータセット (CV > 100%) で必要であった採水頻度は3日毎以上であったと考えられた。