福岡県内の小規模湖沼においてマット状の浮上藻類が発生し, 周辺の景観を損ね問題となっていた。対策を講ずる上で, 浮上藻類の種類, 発生場所, 量などの基礎的情報が必要であった。そこで採取した藻類を偏光顕微鏡観察と微生物群集解析により同定した。また, 可視光カメラと近赤外カメラを搭載したマルチコプターを用いた空撮調査を実施し, 調査で得られた近赤外オルソ画像を用いた画像解析により浮上藻類の定量化を試みた。その結果, 浮上藻類は主に Pseudanabaenaceae 科の糸状性藍藻の集合体であり, 夏季の浅瀬で集中的に発生していた。それらの増殖に伴う気泡が藻類集合体内部に付着し, 見かけの密度が減少したため, 湖底から剥がれて浮上したものと確認された。また水温と日射を考慮した計算藻類炭素量と浮上藻類面積の増減が対応していたことから, 藻類対策としては湖岸浅水部での日射量を制限する対策が有効であることが示唆された。