2022 年 45 巻 4 号 p. 181-191
三河湾東部の豊川河口域において, 2018年10月~2019年3月に実施された広域流域下水道のリン濃度増加運転が, 減少傾向にあるアサリ稚貝の発生状況に与えた影響を調査した。2018年度秋冬季は, 管理運転前の2016年度より干潟部のクロロフィルa濃度および1歳稚貝の生残率が高かった。2018年10月~2019年1月に発生した着底稚貝 (S.L. ≦ 300 μm) が, 3月にかけて個体数を維持しながら成長した。豊川からの負荷量が低下した時期に, 下水道が放流したリンを元に0.2~10 μmサイズのナノ・ピコプランクトンが増殖した。着底稚貝および初期稚貝 (300 μm < S.L. ≦ 500 μm) の個体数密度は, 0.2~10 μmサイズのクロロフィルa濃度と相関関係にあった。管理運転で供給されたリンが植物プランクトンの増殖を介して, アサリ稚貝の好適な餌料環境を維持していた。