水環境学会誌
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46 巻, 1 号
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ノート
  • 赤尾 聡史
    原稿種別: ノート
    2023 年 46 巻 1 号 p. 1-9
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/01/10
    ジャーナル フリー
    電子付録

    アンモニア態窒素濃度の測定法であるインドフェノール青吸光光度法について, 公定法や協会法には脂肪族アミンの妨害について記述がない。しかし, 同法にて脂肪族アミンの発色を確認したことから, 脂肪族アミンの呈色およびその機構について検討した。衛生試験法・注解の手順により, 脂肪族第一級アミンが呈色すること, ニトロプルシッドナトリウムの利用が脂肪族アミンの発色につながることを確認した。メチルアミンとエチルアミンの呈色において, それぞれホルムアルデヒドとアセトアルデヒドの生成が確認でき, 呈色機構の1つとしてアミンがイミンあるいはイミニウムイオンを経由し, アルデヒドとアンモニアを生成する反応が想定された。脂肪族第一級アミンやキトサンの呈色について, 線形に近い濃度-吸光度の関係を見出した。ニトロプルシッドナトリウムを用いるインドフェノール青吸光光度法が脂肪族第一級アミンの定量法に成り得る可能性を指摘した。

技術論文
  • 渡邊 真也, 小熊 久美子
    原稿種別: 技術論文
    2023 年 46 巻 1 号 p. 11-19
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/01/10
    ジャーナル フリー

    過疎化, 高齢化の進む山間地域では, 公共水道に接続できず, 住民の責任で運営する集落規模の水供給施設を利用している場合がある。住民が施設運営に担う大きな労力的負担を考え, 住民支援を目的に, 省電力長距離通信 (Low-power wide-area, LPWA) の活用を提案した。簡易的な通信モジュールを作製し, 雑木林中で実験した結果, 920 MHz帯の電波は伝搬距離のおよそ5乗に反比例して減衰した。この結果から, 森林に囲まれた水供給施設における周辺の電波伝搬を予測したところ, 実測値と決定係数0.95 (p < 0.01, N = 20) で整合した。配水池水位のリアルタイム遠隔監視の試みでは, 住民が頻繁に施設に出向いて実施する目視確認に代わる手段として, 住民の負担を軽減できた。また, 水位を数値データとして記録できるようになり, 将来的には水不足の兆候を早期に感知する予防的な渇水対策にデータを活用する可能性が示された。本研究により, 山間集落の水供給施設管理におけるLPWAの実用性が示された。

調査論文
  • 中野 拓治, 李 雨桐, 山岡 賢, 治多 伸介
    原稿種別: 調査論文
    2023 年 46 巻 1 号 p. 21-33
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/01/10
    ジャーナル フリー

    本研究は農業集落排水施設で多く採用されている連続流入間欠ばっ気活性汚泥法の処理水について, 「処理水の灌漑プロジェクトに対するISOガイドライン」の水質レベルと比較し, 各カテゴリーの水質レベルを達成するために必要な運転管理方法を検討した。処理水のBOD濃度とSS濃度は流量調整槽前置嫌気ろ床接触ばっ気法の農業集落排水処理水に比べて灌漑水として良好な値であり, ばっ気槽のDO濃度 (ばっ気工程終了時) を1~2 mg L-1とすることで水質が最も良好なカテゴリーAの水質レベルを達成できる可能性が高いことが分かった。また, ばっ気槽のDO濃度の応答は散気方式によって大きく異なるため, 散気方式に応じたばっ気強度の管理が重要であることが示された。処理水中の残留塩素濃度が0.15 mg L-1以上検出されれば, 大腸菌群数はカテゴリーBおよびAの水質レベルを達成できる可能性が高く, 残留塩素の適切な濃度管理が処理水の灌漑利用のためには重要であると考えられた。

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