水環境学会誌
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研究論文
気候変動が児島湖の水質と水質保全対策に与える影響
永禮 英明山本 敬介
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2024 年 47 巻 2 号 p. 55-62

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抄録

気候変動が湖沼水質に及ぼす影響を把握することを目的に, 児島湖を対象として将来水質予測シミュレーションを行った。将来気象データには気候変動の程度が小さなSSP1-2.6と, 程度が大きなSSP5-8.5の2つのシナリオのデータを用いた。2050年までの将来30年間についてシミュレーション実施した結果, SSP1-2.6では現状に比べ顕著な水質変化はないものの, SSP5-8.5ではCOD濃度が有意に増加する期間が存在し, その濃度変化の大きさは現況期間平均の5%に相当した。この大きさは, 湖沼水質保全計画での改善目標と同程度であり, 行政による水質保全施策による効果を相殺すると考えられた。また, 植物プランクトン量を表すChl.a濃度が70 μg L–1を超える日数が増加すると予測された。湖沼の水質保全を計画する際には, 気候変動の影響を考慮すること, またそれに対する施策を検討することが必須と考えられた。

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