水環境学会誌
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技術論文
連続流れ分析法を用いた, ICP-MSによるHgを含む金属一斉分析法の自動化と前処理における添加剤の検討
神野 良誠鈴木 淳史古川 浩司高橋 のどか熊澤 頼博奥西 将之前田 広人
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2025 年 48 巻 p. 125-134

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抄録

連続流れ分析法 (CFA法) による自動酸分解装置を用いて, 誘導結合プラズマ質量分析法 (以下, ICP-MS) によるHgを含む金属12元素 (B, Al, Cr, Fe, Mn, Cu, Zn, As, Se, Cd, Hg, Pb) の自動化条件の最適化と, Hgの添加回収試験における添加剤の効果について検討を行った。HNO3溶液中, 添加剤としてHCl, Na含有試薬および種々の酸化剤をHgの添加回収試験より評価したところ, HClおよびHCl+NaClOの組み合わせが最適であることがわかった。得られた結果を元に, 環境水に対し金属12項目の添加回収試験を行ったところ, NaClOを用いることで, Hgの回収率が70%以下の試料において100%に改善することができた。本法は, Hg測定時の妨害となる還元性物質が含まれていてもHgを高精度に測定でき, かつHgを含む金属一斉分析の前処理操作からICP-MS測定までの自動化が可能である。

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