水環境学会誌
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調査論文
水田圃場からの被覆性肥料カプセルの流出量と流出特性
須戸 幹岩間 憲治
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2025 年 48 巻 p. 135-142

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抄録

陸域の水環境におけるマイクロプラスチックのリスク管理には, 発生源ごとに発生量と流入特性を把握する必要がある。水田では, 被覆性肥料カプセル (直径2~5 mm) を含む肥料の散布がマイクロプラスチックの供給源となり得る。本研究では, 一筆水田排水口から流出する被覆性肥料カプセルの流出量と流出特性を2年間, 6圃場で調査した。通年調査を実施した2圃場では, 入水から移植までの間に年間流出量の90%以上が流出した。4圃場における代かき移植時の流出量は70~520 x 103 個 ha-1 (平均243 x 103 個 ha-1) , 重量ベースで0.17 kg~1.29 kg ha-1 (平均0.61 kg ha-1) , 前年散布量に対する流出率は0.9~6.7%で, 流出は人為的な落水や降雨による越流などに起因したと考えられた。6圃場のうち水管理の不十分な1圃場では, 移植時以降の流出量が代かき移植時の流出量に相当する可能性のあることが示された。

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