岩手県一関市に位置する吸川は, 郊外から市街地を流れる中小河川である。2000年にかけて製紙工場排水の流入による汚濁が顕著であり, 吸川下流のBOD75%値は50 mg L-1を超える年が多く見られた。2002年には製紙工場に排水処理施設が導入されたことにより, 吸川下流のBOD75%値は20 mg L-1程度に低下した。その間, 一関市により公共下水道への接続や合併浄化槽の導入の促進などの対策が進められた。その結果, 2018年の製紙工場閉鎖以降の吸川下流におけるBOD75%値は5 mg L-1を下回り, 値も安定した。現在では, 浄化槽普及率に課題が残り, 郊外でBOD平均値に若干の上昇は見られたが, 水域生態系への影響は小さいと思われた。市街地ではイベントが行われた際のBOD値の上昇や, 降雨時の面源負荷によるEC値の上昇が見られたが一時的なものであった。吸川流域の下水対策による水質改善により, 水域の自然再興が可能になったことが示唆された。