2026 年 49 巻 p. 45-50
リンは食料生産に不可欠であるが, 日本ではリン資源の多くを海外からの輸入に頼っており, リン資源循環の確立が求められている。国内リン資源の一つである下水汚泥由来肥料は, リンの利用性が化学肥料より低く, 肥効の詳細は十分に解明されていない。本研究はコマツナ栽培実験により下水汚泥肥料のリン肥効を評価し, 植物のリン吸収量および土壌中の可給態リンを分析した。その結果, 下水汚泥肥料単体施用では肥効は認められたが, コマツナの生長は窒素制限を受けた。化学肥料との混合施肥により窒素条件を揃えた場合, 下水汚泥肥料のリン肥効が確認された。一方, 下水汚泥肥料は施肥基準量での施用の場合, 化学肥料より生長量が小さく, 下水汚泥由来リンの利用性が低いことが示唆された。ただし, 化学肥料は移動性が高く, 灌水により根圏外にリンが流亡しやすい。一方で, 下水汚泥肥料の施用により可給性の低い形態のリンが土壌中に蓄積する可能性が示された。