水質汚濁研究
Print ISSN : 0387-2025
河川底質中のリン定量法の比較検討
小倉 光夫井口 潔
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1987 年 10 巻 7 号 p. 431-440,414

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抄録
河川底質中のリン定量法における試料分解法と吸光光度法の最適な組み合わせについて比較検討した。その結果, 乾燥試料1gを硫酸 (3ml) -硝酸または過塩素酸 (10ml) -硝酸を用いてホットプレート上で溶液が透明になるまで分解後, アスコルビン酸法で比色定量する方法が最適であることが判明した。環境標準試料Pond Sedimentの参考値と比較したところ, アスコルビン酸法では分析値がよく一致した。リンバナドモリブデン酸法による定量では溶液中のケイ酸イオンの妨害が認められ, 特にフッ化水素酸-過塩素酸-硝酸およびフッ化水素酸-塩酸分解法で顕著であった。この妨害は420nmでは大きいため, 470nmで吸光度測定する必要が確認された。塩化すず (II) 法は底質試料の定量法としては不適当であった。38底質試料について各吸光光度法で得られた分析値を比較したところ, リンバナドモリブデン酸法および塩化すず (II) 法はアスコルビン酸法に比べそれぞれ8%高い, 18%低い分析値となった。フッ化水素酸を用いない分解法では, 2~55%低い分析値となり, ケイ酸塩中にもリンが存在していることが推定された。
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© 社団法人日本水環境学会
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