抄録
底質中の有機汚染物質の残留状態を把握することは, 有機汚染物質による環境汚染の早期検出や水環境中での有機汚染物質の挙動を知る上で重要である。しかし, 底質に含まれる有機物は, 水質に比べ多種類かつ多量であり, 水中には存在しない硫黄が存在するなど, 底質のマトリックスは複雑である。そのため底質の分析法は, 水の分析法と異なったものとなる。
今回我々は, 底質中の多成分の有機汚染物質を同時分析する分析法に着目して文献調査を行った。本文は試料の採取, 保存から抽出, 分離, 測定までの底質の一連の分析法を具体的に紹介しながら, 実際の分析手順に沿ってまとめたものである。また実際に底質を分析する上で問題となる調整試料の汚染や他の注意すべき事項についても具体的に紹介した。