水質汚濁研究
Print ISSN : 0387-2025
都市排水の陸地還元における水収支と浸透流出水の水質変化
糸山 東一
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1988 年 11 巻 3 号 p. 178-187,159

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抄録

都市排水二次処理水をスプリンクラーによって斜面林地にかんがいし, 好気的雰囲気下での土壌浸透時の水質変化およびそれぞれの溶存物質の除去率について検討した。浸透水中の溶存物質の濃度変化は, 散水条件によって影響を受けた。多くの陽イオン, オルトリン酸イオン, COD濃度は減るが, Ca2+, 溶存ケイ酸, NO3-濃度は増えた。地下水水質に対する陸地還元の好ましからざる影響を軽減するためにも, 浸透流出水中の後者のグループの濃度連続観測のモニタリングが必要である。除去率 : (全投入物質量一全流出物質量) /全投入物質量, を導入し検討した。カチオンのそれぞれの除去率平均値のうち最大はK+の94.3%であり, 最小はNa+の56.7%であった。C1-とSO42-の平均値はそれぞれ46.9%と35.4%であり, 土壌浸透によるアニオンの除去は効果的でない。除去率は水の回収率 (投入水量と浸透流出水量との比で示す) の関数で表される。除去率と水の回収率は直線関係で示され, 直線式の勾配は土壌による溶存物質の保持に関係する。この保持はK+>Fe3+>Mg2+>Ma+の順に減少することが明らかになった。

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© 社団法人日本水環境学会
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