抄録
河川流量に対するリン濃度の勾配は黒瀬川において, 105,000m3/dayで逆転した。それに反し, 三永川ではそのような傾向は認められなかった。105,000m3/day以下では流量に対するDIPの勾配は負であった。冬季 (10月~4月) に, その負の勾配は大きくなった。また, 夏季 (5月~9月) では勾配は増大した。他方, POPと河川流量との相関係数は冬季に高く, 夏季には著しく低下した。その理由として, 河川中で粒子の沈降及び生成等が複雑に絡みあっていることが考えられる。105,000m3/day以上ではPOP濃度及びその河川流量に対する勾配はDIP, DOPと比較して大きかった。これはリン輸送に粒子が重要であることを示唆している。POPは流量と共に増大した。しかし, 粒子中のリン含量はfirst flushで最大で, むしろ流量と共に減少した。