水質汚濁研究
Print ISSN : 0387-2025
マイクロコズムを用いた水の華の発生機構とその制御に関する研究
岡田 光正竹下 俊二須藤 隆一
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1988 年 11 巻 6 号 p. 371-380,354

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抄録
Microcystisの異常発生機構を明らかにするため, MicrocystisおよびChlamydomonas, Synedraの増殖特性を検討すると共に, マイクロコズムを用いて2者培養を行い, Microcystisの異常発生のシミュレーション実験とばっ気による制御実験を行った。MicrocystisChlamydomonasとでは, 20℃, 30℃では低照度下ではMicrocystisのμが, また高照度下ではChlamydomonasのμが大きかった。このため, 水中照度の鉛直方向の減衰が著しい場合, Microcystisのμが相対的に大きくなり, 異常発生に至りやすいと推定された。MicrocystisSynedraの場合, 30℃ではMicrocystisのμがSynedraを上回るため, Microcystisが優占になった。またマイクロコズム内の水全体をばっ気することによってMicrocystisへの遷移が遅れたり, 優占種にならなかったことから, 湖水のばっ気, もしくは人為的循環には, Microcystisの異常発生を遅延する効果があると推定された。
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© 社団法人日本水環境学会
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