水質汚濁研究
Print ISSN : 0387-2025
流下過程の水質変化量の物質収支法による評価
海老瀬 潜一
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1988 年 11 巻 8 号 p. 513-519,496

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抄録
途中からの流出入のない灌概水路区間で, 流下時間の遅れを考慮した24時間調査を実施し, 水質濃度や負荷量の変化を物質収支法で評価して, 日平均の流達率や総括的な自浄係数を算定した。日平均の流達率では, 懸濁態の有機物では0.7~1.0の値が多く, 沈殿や吸着による減少の寄与の大きさが確認された。流下過程の水質形態変化では, 市街地河川で見られるPO4-Pの懸濁物への吸着による懸濁態化と, その懸濁物の沈殿に伴うPO4-P, 懸濁態および全リンの濃度と負荷量の減少は, PO4-PとSSの濃度とPO4-P/SSが小さいため, 水路では顕著な変化とならなかった。通常の負荷量状態で有機物の流量重みづけした日平均の上下流での濃度差から, 酸化分解に沈殿や吸着を含めた総括的な自浄係数を脱酸素係数のように算定した。高濃度の精製有機化合物を瞬時投入してその回収率で算定する従来手法による河川の値と比べて, 同程度か1オーダー高い値を示す結果となった。
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© 社団法人日本水環境学会
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