水質汚濁研究
Print ISSN : 0387-2025
フェノールおよび安息香酸のメタン発酵特性
小林 敏昭橋永 忠志三上 栄一中村 和憲
著者情報
ジャーナル フリー

1990 年 13 巻 1 号 p. 29-38,27

詳細
抄録
フェノールの嫌気性分解では, 気相に水素とCO2が存在する場合に安息香酸は最も顕著に生成した。クロロホルムなどの微生物阻害剤を添加して, 安息香酸とフェノールの嫌気性分解中間体を検出した。安息香酸の分解では, シクロヘキサンカルボン酸, プロピオン酸, 酢酸, 水素が検出された。フェノールの分解では, 安息香酸, プロピオン酸などが認められたが, シクロヘキサノールなどは検出されなかった。
フェノールの分解は, 窒素ガス雰囲気下においても安息香酸を経由すると考えられた。フェノールにCO2が付加した安息香酸を生成する反応は, 低水素分圧下においても有利に進行することが, 熱力学的考察から明らかになった。安息香酸の嫌気性分解が安定であったのに対して, フェノールの分解は, 汚泥接種量を減少することなどによって著しく低下した。 Sludge fluidの添加は, フェノールの分解速度を向上させるのに効果があった。
著者関連情報
© 社団法人日本水環境学会
前の記事 次の記事
feedback
Top