抄録
各種産業の発達と人口の都市集中化によって非常に汚染されている河川の水質を総合的に解析するため,調査回数を変数とした多変量分析と,6回の調査結果を平均した水質特性値を利用して,調査地点別の多変量分析を総合的に評価し,水質特性値および汚染負荷に対する流量との関係を多変量分析による因子得点と比較した。その結果,調査回数別の傾向がほとんど一致することから,季節的に水質が同質性を表していることが認められた。
また,第三主成分までの累積寄与率が97.8%の高い値を示し,第二主成分には水温を除外した14種の水質特性の因子負荷量が0.9以上であり,因子得点は流量と明らかな関係が認められた。しかし,点汚染源による主影響を受ける琴湖江下流では,河川流量変動による汚染物質の流達率の変動はほとんどなかった。