水質汚濁研究
Print ISSN : 0387-2025
底生動物相を指標とする生物学的水質評価
-熊本県内河川において-
小田 泰史中島 重旗杉村 継治
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1991 年 14 巻 2 号 p. 99-108,97

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抄録
熊本県内河川100地点の水質と底生動物相のデータを用いて,底生動物が持つ水質に対する指標性について解析を行った。水質6項目の主成分分析を行った結果,第1主成分(Z1W)は水質汚濁を意味する指標となった。この結果とPI(N)との関係はγ=0.804と比較的良いが,Z1Wスコア(-2.8~-2.0)から良好な水質と判断できる地点で,PI(N)値がβ-msと評価される場合がある。それは,β-msが「大変きれいな水域(Z1W:-2.8~-2.5)」と「きれいな水域(Z1W:-2.5~2.0)」の水質内容を含んでいるからで,これらの水質の指標生物の優占率および出現率の差を生物学的水質評価値として生かすことによって,より的確な評価ができる。
そこで,個々の生物に新たな5段階の水質階級値(Q)と生物学的水質評価法(BE)を試みた。このQ値を用いて100地点のBE値を求めた結果と水質(Z1W)との関係はγ=0.833とよく,「大変きれいな水域」と「きれいな水域」との差を評価することができた。
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© 社団法人日本水環境学会
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