水質汚濁研究
Print ISSN : 0387-2025
好気性消化法の有機物除去機構に及ぼす消化温度の影響に関する研究
李 宅淳佐藤 和明野池 達也松本 順一郎
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1986 年 9 巻 3 号 p. 169-178

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抄録
本研究は高濃度有機性廃水の好気性消化処理における制御パラメータとして消化温度を取り上げ, 有機物除去機構に及ぼす影響を定量的に検討し, 好気性消化処理の制御のための基礎的知見を得るために行なったものである。
消化温度を5℃間隔で5℃から35℃までの7段階, 消化日数を6.7日, 10日, 15日, 20日および30日の5段階にそれぞれ設定し, 35系例の半連続実験を行ない, 以下のような結論を得た。消化温度10℃~35℃の範囲では消化日数15日以上で, 消化温度5℃では消化日数20日以上で基質除去状態が安定する。除去された1kgBOD5当りの汚泥生成速度は消化温度が高いほど, 消化日数が長いほど減少し, 活性汚泥法に比べてはるかに小さい汚泥生成速度である。しかしながら, 消化日数が長くなるほど消化温度が高くなるほど汚泥の自己分解から由来すると思われる難分解性有機物質の産出が著しいことがわかった。
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© 社団法人日本水環境学会
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