抄録
現存する生ごみ処理装置の一つに、好気固相反応槽(堆肥化処理装置)がある。装置の充填材として、従来はおが屑を使用していた。しかしながら、長期運転すると磨耗して微粉末化してしまう。そこで、代替充填材として、ペットボトルをフレーク状に破砕した廃材を用いたところ、おが屑使用時と同程度の分解速度で生ごみを処理でき、充分機能することがわかった。本研究では、両充填材を用いた装置内容物からそれぞれメタゲノムを抽出し、16S rDNAクローン解析法により微生物相の推定と比較を行うことにより、微生物学的観点から、ペットボトル廃材を用いた生ごみ処理機の評価を行った。クローン解析法の結果、おがくず充填材では絶対好気性菌のBacillales目細菌が圧倒的に優占していた一方、ペットボトル廃材ではBacillales目は約半分に減少し、通性?絶対嫌気性菌のLactobacillales目細菌が38 %を占めていた。ペットボトル廃材をおが屑の代わりに充填材として用いる場合の装置の運転条件等については、さらに検討を行って最適化を図ってゆく必要があると考えている。