抄録
有機性廃棄物からエネルギー資源を回収することが可能なバイオガス化施設は、すでに国内で生ごみを対象とする数ヶ所の実施設が稼動を始めている。しかし、廃棄物系バイオマスには、メタン発酵阻害因子が含まれる可能性があるため、単独処理に問題のあるものも多い。本研究では、バイオディーゼル製造残渣(廃グリセリン)、魚アラ、ならびに廃紙類について、生ごみとの混合バイオガス化処理の可能性ついて検討した。生ごみに対するこれらの廃棄物系バイオマスの許容混入率ならびに安定した連続運転に必要な条件を実験的に検証し、期待されるバイオガス回収量原単位を推定した。その結果、廃グリセンリン及び魚アラについては、それぞれ10%程度以下が許容混入率であった。また、生ごみと上記の廃棄物系バイオマスを混合処理した場合のLCCO2を評価したところ、混入率が適正範囲であれば混合処理システムの環境負荷が生ごみ単独処理に比して有利であった。