抄録
一般廃棄物の処理は,焼却による残渣埋め立て方式からガス化溶融方式及び灰溶融方式へ転換しつつあり,これに伴って溶融固化物(スラグ)が副産物として大量に生成されるようになった.生成したスラグについては,様々な有効利用法(コンクリート用及び道路用骨材等)が提案されており,標準化にむけた取り組みも進んでいる.スラグを有効利用する場合,満たすべき品質として,外観,有害物質の溶出量と含有量,骨材品質としての粒度,密度,吸水率等が示されている. 本研究では、産業廃棄物を溶融固化した“産廃スラグ”について,対象とした産廃のゴミ組成,及び得られた産廃スラグの化学組成を明らかにした.次に,それに近い化学組成を有する天然岩石として超塩基性岩のアルカリ玄武岩を想定し,その結晶化過程から予想される鉱物組み合わせと産廃スラグの鉱物組み合わせとの対比を行い,産廃溶融体(メルト)の結晶化プロセスについて考察したので報告する.