抄録
全国を対象に、バイオマスの農耕地での需給バランス(窒素、リン)を制約条件として、主に温室効果ガス排出量を評価指標とするバイオマス利用システムのケーススタディを実施した。GHG総排出量は、現状型(過剰施肥状態)で1,265万t-CO2eq/年、将来型で△679万t-CO2eq/年(マイナス表示はエネルギー生産型の意味)となり、現在、焼却・廃棄しているバイオマスを積極的にエネルギー利用(メタン発酵や熱分解ガス化し、発電・熱利用)するとともに、現在、堆肥利用しているバイオマスをメタン発酵させ発酵残渣・廃液を農耕地還元する将来型のバイオマス利用システムを採用することで、GHG排出量は大きく削減されることが分かった。ただし、パラメータを変更することで、試算結果に大きな影響を及ぼし、最適なバイオマス利用システムも変化するため、地域の状況を踏まえたパラメータの設定が重要かつ必要である。