抄録
消費の環境評価において,代替的な消費パターンを比較する際には,それらに起因する環境負荷排出総量の多寡にもとづくことが多い。しかし,環境への配慮の観点から,消費者に消費パターンの変更を強いる場合,そこから得られる消費者の満足度は一般に低下する。仮に,より低負荷の消費パターンが見つかったとしても,それが消費者に必要以上の我慢を強いるものであれば,それは実現可能ではない。そこで,消費パターンの環境評価には,消費の環境効率(環境負荷一単位当たり得られる満足度)への配慮が必要である。本研究では,経済学における消費者理論と矛盾しない形での環境効率指標を提唱し,それを用いた環境評価とシナリオ分析を行う。分析に用いるモデルは,廃棄物産業連関モデルと経済学における消費者モデルの統合モデルである。これを用いて計測したライフスタイルの環境効率指標にもとづき,交通と食に関する消費シナリオの評価を行う。