抄録
計画段階での最終処分場候補地の選定において処分場からの汚染物質の漏洩リスクに係わる地下水流動評価は,この段階ではほとんど実施されていない。
本報告では,この候補地選定において地下水流動評価項目を提供することを目的として,対象流域の水循環を数値シミュレーションにより再現し,地下水流動の特性が容易に判読できる評価情報を地図上に反映する手法を検討した。ここでは,金目川流域をケーススタディのフィールドとして選定し,三次元水文・水理地質構造モデルを構築して,地表水-地下水完全結合型の水循環解析を行い,流域における地下水流動評価マップの作成手法を試みた。その成果として,地下水の流線軌跡情報を元に,各格子点からの移行時間を算出し,土地利用の法規制を重ね合わせることで対象流域での地下水流動評価マップを作成する手法を提示した。