大きな社会問題となっている不法投棄現場で,テトラクロロエチレン(以下PCE)などVOC類に汚染されているケースがある。本研究では,現地で汚染を浄化する『リスク低減化プロセス』のための手法として、原位置バイオレメディエーション法に注目し、A県不法投棄現場の廃棄物をサンプルとして,本手法の現場の修復可能性を検討することとした。 はじめに,廃棄物層内での浄化を模擬したカラム試験によりPCE及びその分解生成物の反応経路を確かめた。次に、移流分散・吸着・脱塩素化反応によるPCE及びその分解生成物の濃度変化をモデル化し、実験結果から,モデル内のパラメータを決定した。まず,非吸着・非微生物分解性のトレーサを用いたトレーサ試験により,移流分散に関するパラメータを算出した。そして,カラム分解試験での,カラム内のPCE及び分解生成物濃度の定常分布により,分解速度定数を求めた。これより,カラム連続分解試験でのPCE及びその分解代謝物の挙動をモデルにより表現することができた。 最後に、得られたパラメータを用いて現場スケール(均一性を仮定)を想定した浄化効果予測を行った。帯水層に注入井と揚水井を設置し、地下水流を制御する工法を想定した。分解速度定数とDarcy流速を変化させた6つのケースでシミュレーションを行った結果,汚染濃度変化を推定できたとともに、浄化にかかる日数に対し分解速度定数とDarcy流速が及ぼす影響を確かめることができた.