抄録
本研究では、大腸菌の遺伝子型が生息動物の種類によって異なることを利用し、株単位まで識別可能な高精度のAFLP法を用いてウシの糞便と河川中の大腸菌群遺伝子を比較することによって、家畜ふん尿による汚染の有無を判別することを試みた。まず、ウシの糞便と下水汚泥を用いてAFLP分析を行い、ウシの大腸菌群を区別するための指標遺伝子を見出した。次に、畜産農家が集中しているY川を対象に、本手法を用いて調査を行った。その結果、河川水中の大腸菌群遺伝子からウシの指標遺伝子が検出され、流域周辺の家畜ふん尿が河川に流入していることがわかった。そして、河川中で検出された大腸菌群遺伝子から、家畜ふん尿汚染に対する寄与の高い畜産農家を明らかにすることを試みた.