有害物質を含む液状廃棄物を蒸発乾燥させる処理方法は、廃棄物の発生量を削減できる方法のひとつである。しかし、液状廃棄物の水分を蒸発させるには乾燥機の蒸気圧を0.3MPa以上で供給する必要があり、投入エネルギーは理論エネルギーを大きく上回る。次に、高い蒸気圧を投入すれば水分の蒸発は可能であるが、乾燥残渣は結晶状態となり伝熱面へ固着し熱伝導を悪くさせるため、乾燥不良が起こったり処理能力が低下したりする課題が残されている。そこで、課題を解決するため有機触媒に多糖類を用いて乾燥残渣の結晶化を抑制させる乾燥方法の研究を行った。有機触媒はカルボキシメチルセルロースを使用し、液状廃棄物中で塩析効果によってゲル化させ、そのゲルに各種イオンを包接させて結晶化を抑制させることに成功した。その結果、乾燥残渣の結晶が伝熱面に固着することは解消され、乾燥効率が高くなり蒸気圧を0.2MPa以下まで下げることが可能となった。