抄録
住民のごみ分別行動を抑制する要因の一つとしてコストの問題があげられる。本研究では、特徴の異なるごみ分別制度において、住民がどの程度コストを感じているのか、コストの感じ方は、当該制度のもとで分別を続けることによって変化するのか、などについて実証的に検討する。分析の結果から、(1)分別数が多いと個人の分別時のコスト感が高くなるが、分別数の多い都市ほど分別行動が行われている、(2)分別開始当初からコスト感が低くなければ分別が行われない場合と、分別開始当初はコスト感が高くても次第にコスト感が小さくなり、分別行動を行う場合があり、分別制度の特徴によってその傾向は異なる、(3)はじめはコスト感が高くても、現在コスト感が小さい場合、認知的不協和が低減されている可能性があることが明らかになった。