昨年度の研究報告において段ボール古紙の利用法として活性炭の作成を試みたところ、段ボールをZnCl2水溶液に浸してZnCl2水溶液を含浸させたのち熱処理するという簡便な手法により優れた吸着性能を有する段ボール活性炭が得られることを明らかにした。段ボール構造を保持した活性炭が得られれば、粉体や粒状の活性炭と比較して吸着処理における通気、通液時の抵抗の低減が期待される。しかし、段ボールはZnCl2水溶液に浸漬すると紙強度が低下し、炭化物の作成過程でライナーと中しん原紙の変形や剥離が生じた。そこで、本研究では段ボール構造を保持した活性炭の製造を狙い、熱硬化性であるフェノール樹脂を含浸させた段ボールの作成とその炭化処理について検討した。