抄録
都市ごみ焼却灰は、人体や環境に有害であり、特定管理産業廃棄物に指定されているが、放射性核種については規制等がなされていない。本実験では都市ごみ焼却灰中の放射性核種をガンマ線スペクトロメトリーにより分析した。その結果、40K, 137Cs, 226Ra, 228Ra, 228Th の存在が明らかになり、それぞれの放射能濃度は自然界の放射能濃度レベル以下であった。また、焼却灰中の 40K と K の濃度には相関がみられた。同様に、酸性ガス処理に用いられる消石灰の放射性核種を測定したところ、226Ra のみ存在し、40K は都市ごみからもたらされていることが分かった。さらに、Ra 同位体比を調べたところ、焼却主灰では約 1 である一方、消石灰処理をした試料と煤塵を一緒に捕集した焼却飛灰では 1 より小さい値となった。同位体比の変化から消石灰の寄与を計算した結果、50 % となった。