抄録
メタン発酵処理の高度化に伴う課題を明らかにするために、中間処理施設のLC-CO2評価と、高度化メタン発酵処理施設の設計値と運転実績値の比較を行った。高度化湿式メタン発酵、高度化乾式メタン発酵、簡易メタン発酵、コンポスト化、焼却の5つのシナリオについてLC-CO2評価を行った結果、前処理と排水処理が簡略式で、かつ発電量が高い高度化乾式メタン発酵が最もCO2排出量が少ないという結果になった。一方、CO2排出量が最も多かった高度化湿式メタン発酵は、前処理、排水処理および脱臭等の付帯設備によるCO2排出量が全体の78%に及ぶことが課題であった。高度化湿式メタン発酵施設は、ごみ搬入量が設計値を下回ったために、ごみ1 t処理あたりの CO2排出量が増加していた。メタン発酵処理施設の高度化に伴う課題は、CO2排出量が高い割合を占める付帯設備による負荷を削減することであり、更に、施設の設計時にごみの搬入量を多く設定して設備を肥大化させないことが適切な処理を行う上で必要である。