日本水処理生物学会誌
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藍藻類Cylindrospermopsis raciborskiiの回分培養における肝臓毒cylindrospermopsin産生特性
藤本 尚志今野 紗綾香吉野 由貴大西 章博鈴木 昌治水落 元之稲森 悠平
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2005 年 41 巻 3 号 p. 153-158

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抄録
藍藻類Cylindrospermopsis raciborskiiを窒素が豊富な条件ならびに窒素制限の条件において回分培養を行い、窒素固定ならびに肝臓毒cylindrospermopsin (CYN) 産生特性について検討を行った。C. raciborskiiは初期NO3-N濃度が低い条件下においても、窒素固定により増殖し、それにともないCYN濃度が増加することが明らかとなった。全CYNの最大値は初期NO3-N濃度16.5mg・l -1で1.26 mg CYN・l -1、初期NO3-N濃度1 mg・l -1で0.45 mg CYN・l -1であった。初期NO3-N濃度が1/10以下であっても、全CYNは約1/3程度であることが明らかとなった。初期NO3-N濃度1 mg・l -1の条件において全CYN濃度と全窒素濃度との間に正の相関が見られ、窒素固定量が増加するにつれて、CYN濃度が高まることが明らかとなった。このことからC. raciborskiiが窒素が制限因子となっている湖沼や貯水池に存在し、増殖に好適な条件となった場合、窒素固定を行うことにより増殖量が高まり、それにともないCYN濃度が高まる可能性が示唆された。
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© 2005 日本水処理生物学会
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