抄録
富士市では毎年約100万トンに及ぶ製紙スラッジ(paper sludge, PS)が排出され、そのほとんどが焼却処分されている。この現状に鑑み、PSを嫌気性消化法によりバイオガス化しバイオマスとして活用するため、そのバイオガス生成及びメタン生成を評価した。分解対象物にはPS2種類(バージンパルプ由来,古紙由来)、同市より排出される未利用バイオマス3種類:給食センターから排出された食品残渣および野菜屑、街路樹の剪定枝の計5種類を対象とした。発酵温度は38℃及び55℃、有機物負荷量を0.18~0.60w/v%まで段階的に上げて回分式試験を実施し、生成するガス量とその組成を測定した。PS及び食品残渣の結果は動力学解析を行い、分解速度係数および最終的に予測される各基質からのガス生成量を求めた。この結果、古紙由来のPSはほとんど発酵せず、今後更なる検討が必要ではあるが、停滞要因の一つとして古紙固形物中のAl濃度が問題である可能性が示唆された。一方、バージンパルプ由来のPSから生成する最終メタン量は食品残渣の半分程度であったもののその値は野菜屑から生成するメタン量とほぼ等しく、中温発酵条件下において食品残渣の反応速度係数と大きな差が認められなかったことから、パルプ由来のPSが嫌気性消化の対象基質となり得ることが示唆された。