日本水処理生物学会誌
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人工湿地における10種の抽水植物の排水処理性能の比較評価
山本 智子桂 萍大坂 利文蛯江 美孝徐 開欽杉浦 則夫稲森 悠平
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2010 年 46 巻 1 号 p. 59-69

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抄録
人工湿地を用いて排水処理を行う上で,抽水植物の植栽は重要なファクターであることが知られている。本研究の目的は,効果的な抽水植物を選定することである。本研究では、ラボスケールの浸透流(Subsurface flow)方式の人工湿地システムを用いて,同一条件(e.g. 流入負荷,気候および流下方式)における,10種の水生植物のBOD, CODMn,窒素およびリンの除去性能を比較評価した。ケナフ(Hibiscus canabinus)を除く全ての植物種および非植栽系において有機物(BODおよびCODMn)除去性能については大きな差がなく,実験期間を通しておよそ90%(BOD)の高い除去性能が得られた。一方,人工湿地システムにおいて安定した高い栄養塩除去性能を得るためには、植栽する水生植物の選択が極めて重要であった。特に,カンナ(Canna generalis)およびマコモ(Zizania latifolia)は有用な植物であった。一方で,一般的に人工湿地に利用されるガマ(Typha latifolia)やヨシ(Phragmites australis)は,平均的な栄養塩除去性能であった。
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© 2010 日本水処理生物学会
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