日本水処理生物学会誌
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大型水生動植物生態系モデルによる界面活性剤の生態環境リスク影響評価
呂 志江賀数 邦彦杉浦 則夫稲森 隆平徐 開欽村上 和仁稲森 悠平
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2013 年 49 巻 1 号 p. 21-30

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抄録
生活・事業に由来する面源系汚水に含有される化学物質が河川や湖沼へ排出され、水環境の汚染が水生生物の生息や生育に支障を及ぼすことが懸念されている。水圏生態系に影響を及ぼす可能性がある化学物質のリスクを評価する必要があり、水圏生態系モデルによる評価ツールの開発が重要である。本研究では、上記の点を踏まえ、水生動植物として沈水植物・水生動物からなる水圏モデル生態系を用いた汎用化可能な生産(production: P)/呼吸(respiration: R)比等を評価指標とした水圏の生態系リスク評価手法を開発し、化学物質の影響評価ツールを確立するため、実験的検証を行った。P/R比、DOの濃度と生物個体数の結界より、1)AEのNOEC(最大無影響濃度)は2mg・l-1と評価された。この結果より、フラスコスケールのマイクロコズムと大型水生動植物生態系モデルの無影響濃度が一致することがわかった。2)AEの添加濃度3mg・l-1と5mg・l-1では、P、R値は対照系とは異なる動きを示し、P/R比は1以上に増加した。3)AEの添加濃度10mg・l-1と20mg・l-1では、P/R比がそれぞれ0.43、0.26まで減少するが、添加7日目には元のP、R値まで回復した。この結果より、界面活性剤AEは生分解されるものと考えられた。大型水生動植物生態系モデルを用い、化学物質の評価において水生動植物生態系モデルは有効なツールとなる可能性が示唆された。
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© 2013 日本水処理生物学会
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