日本水処理生物学会誌
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高濃度ミネラル含有嫌気汚泥からの異化的鉄還元デルタプロテオバクテリアの検出
関川 貴寛林 広紀岩堀 恵祐
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2013 年 49 巻 1 号 p. 37-46

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抄録
デルタプロテオバクテリア網に属する異化的鉄還元細菌(dissimilatory iron-reducing Deltaproteobacteria, DIRD)の新種は様々な環境試料中から発見されており、バイオレメディエーションや微生物発電の応用研究に広く利用されている。本研究では、ミネラル(Na,K,Ca,Fe等)を高濃度に含んだ嫌気汚泥に注目し、鉄電解法を用いた高度処理型浄化槽および最終処分場浸出水処理施設の嫌気汚泥からDIRDの検出を試みた。フェリハイドライト培地に汚泥試料を添加し、嫌気条件下で静置培養した結果、両培地ともに暗褐色から黒色に変化し、良好な磁気応答を示した。磁気応答を示した培地からDNAを抽出し、PCR-DGGE法と16S rRNAを標的としたユニバーサルプライマーを用いて菌叢解析を行った結果、最終処分場浸出水処理施設からはDesulfuromonas palmitatis SDBY1株の近縁種が検出されたが、高度処理型浄化槽からはDIRD由来のバンドは検出されなかった。しかし、DIRDに特異的なプライマーを用いることで、高度処理型浄化槽内におけるGeobacter lovleyi SZ株の近縁種の存在が明らかになった。
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© 2013 日本水処理生物学会
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