抄録
ラン藻類や放線菌などが産生するかび臭物質(ジェオスミン)は、通常の浄水処理工程では除去が難しく、また、高度処理である吸着やオゾン酸化による除去は維持管理の点で高コスト、副産物発生等の問題がある。そこで、生物膜を用いた生物分解除去が注目されている。これまでに生物膜によるジェオスミン分解が水中に共存する溶存有機炭素に大きく影響を受けることが判明しているが、その種類や濃度の影響や分解機構はよくわかっていない。そこで本研究では、生物処理槽より採取した生物膜を用い、各種有機炭素(グルコース、酢酸ナトリウム、酢酸)をμg濃度レベルで添加しジェオスミン分解実験を行った。その結果、ジェオスミンが唯一炭素源である系と比較して、グルコースと酢酸ナトリウム添加系では分解速度の明確な増加が認められた。一方、酢酸添加系では、分解実験開始後の1日目までは他の有機炭素添加系と同様の分解速度を示したが、その後ジェオスミン分解が抑制された。実験期間中の16S rDNA copy数は全ての系で大きな増減は認められなかったが、ATP濃度はグルコースおよび酢酸ナトリウム添加系で2日目に増加し、その後減少した。以上の結果から、有機炭素源との共代謝によりジェオスミン分解活性が増加する可能性が考えられた。また、DGGEバンド解析から、有機炭素の種類に対応し細菌群集構造が変化することが判明した。