抄録
し尿、浄化槽汚泥の性状は、し尿処理プラントの建設や運転管理における重要なファクターである。しかし、近年の性状実態を包括的に捉えた報告はみられず、適切な頻度の分析作業も困難な状況と推察される。本研究では、し尿、浄化槽汚泥に関する標準的な性状の抽出と分析作業の効率化を目的として、アンケート調査で得られた性状データ(検討項目:BOD、COD、SS、T-N、T-P、塩化物イオン)をもとに、し尿・浄化槽汚泥の性状に関する解析と検討を行った。性状データの分布は、いずれの検討項目も、正規または対数正規による非超過確率分布によく適合しており、解析で得られた非超過確率値が、し尿、浄化槽汚泥の性状設定で利用可能と判断された。また、検討項目間の相関関係から、比較的簡単に分析できるCODあるいはSSのいずれかと塩化物イオンの濃度を測定することで、他の検討項目の濃度も把握できることが示唆された。