日本水処理生物学会誌
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浄水場生物処理槽内生物膜のgeosmin分解への水温の影響
李 沁潼廣川 真理子内海 真生
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2016 年 52 巻 1 号 p. 11-18

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抄録
水の異臭味問題、特にカビ臭問題は世界中で深刻な問題となっている。geosminは代表的なカビ臭物質であり、主に富栄養化した水域でラン藻類や放線菌の二次代謝産物として産生される。geosminは、凝集沈殿などの従来の水処理プロセスを用いて除去することは困難であり、活性炭を使用して除去するにはコストがかかる。対照的に、生物処理によるgeosminの除去は効果的でコストに優しいアプローチであることが考えられる。しかし、生物処理によるgeosminの除去に関してはまだ不明な点が多い。本研究では、近年かび臭問題が毎年発生している霞ヶ浦を水源とする浄水場生物処理施設より実験用ハニコム担体に形成させた生物膜を毎月1回採取し、実験室にて現場水温及び25℃水温環境下でgeosmin分解実験を行った。その結果、年間を通じてgeosmin分解能を有する微生物群集が生物膜中に常在していること、geosmin分解速度は季節的に変動し8月に最大値の0.42 d-1 mg-1 cm2になったことが判明した。さらに、geosmin分解速度は水温に律速されていること、geosminの分解は低水温(10℃以下)で阻害されているが水温を上昇させることで回復できること、が示された。
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© 2016 日本水処理生物学会
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