抄録
平成21年4月末から5月中旬にかけて、筑後川上流の松原ダム上流域において珪藻類のSynedra acusが異常増殖し、その下流に位置する荒木浄水場でろ過閉塞障害が発生した。荒木浄水場では、ろ過池における損失水頭の急激な上昇に対し、浄水処理薬品の増量による凝集処理の強化を図るとともに、ろ過継続時間の段階的な短縮を行ったが、原水中のSynedra acusの経日的な増加も相俟って、十分な除去効果が得られず、浄水処理の機能が著しく低下した。これらの状況に対し、前塩素注入点の変更とろ過池の複層化を緊急的に実施した。前塩素注入点の変更により、Synedra acusと前塩素の接触時間を従来より長く取ることで、Synedra acusの沈殿池における凝集沈殿除去効果を約20ポイント向上することができた。また、約半数のろ過池を対象に、僅か50 mm厚のアンスラサイトを敷設することで、ろ過池の損失水頭上昇の顕著な抑制効果が確認され、浄水処理の機能を回復することができた。今後の同様な障害の発生に備え、ハード面での対策として、全ろ過池の複層化と前々塩素注入設備を常設するとともに、ソフト面での対応として、水安全計画の中で危害評価と危害解析を行うとともに、ろ過閉塞障害に係る対応について手順化した。